最近は、生前に戒名を授与してもらう人が増えてきています。
その方が戒名料が格安になると評判で、今ではインターネットサイトやAIで戒名授与をするサービスまで出てきています。
しかし、戒名は末代までご子孫が供養するもの。しっかりとしたものをつけなければなりません。
また、残された方への負担を減らす「生前戒名」ですが、何点か注意しないと逆にご遺族に迷惑をかけることにもなりかねません。
そこで、ここでは、格安ながらもきちんと生前戒名を授与してもらえるお寺をご紹介するとともに、「生前戒名」を授かる上での注意点をご説明します。
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【増えている生前戒名】
「人生100年時代」といわれる昨今ですが、年金は減少するし失業も増えて来ており、収入面では不安が増大してきています。
また、少子化により「死後に供養をしてくれる家族がいない」、「遺族に負担をかけられない」という問題も増えてきています。
そんなことから、ここ数年、死後のことを遺族に託すのではなく、自分が生きているうちに準備をしておこうという考え方が広まってきました。
自身の葬儀を生前に予約したり、戒名を生前に授かったりするのも、そうした動きの一つです。
【生前戒名とは】
「生前戒名」というのは、文字通りお亡くなりになる前に戒名を授かることを言います。亡くなった後にご遺族がお寺に故人の戒名をお願いするのではなく、自分自身でお寺に依頼し戒名を授かります。
戒名というと、亡くなった後に授かるイメージがありますが、実は「戒名=死後の名前」ではありません。もともと、戒名は仏様の弟子になった証として授かるもので、生きているときに授かるのが正式です。
たとえば、キリスト教では、キリスト教の教えを守り、キリスト教を信仰する事を誓った証として生きているうちにクリスチャンネームを授かります。それと同じように、仏教の戒律を守り、仏教を信仰することを誓った証として授かるのが戒名なのです。
生前戒名を授かっている方は大変多く、有名なところでは、武田信玄の「信玄」や上杉謙信の「謙信」も実は戒名なのです。
戒名は、仏弟子となり仏教の教えを拠り所として生きる証で、死後に安らかな身となり成仏を叶えるものと言えます。
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【生前戒名のメリット】
では、生前に戒名を授与されるとどんな良いことがあるのでしょうか?大きく分けると3つのメリットがあります。
お布施が格安になる
まずは、現実問題として、生前戒名は没後戒名よりもお布施が格安になります。お寺によっても異なりますが、半額近くになることもあります。
その理由は、時間的な余裕の違いです。
没後戒名を授かる場合、位牌を作るまでに戒名ができていないといけません。お通夜や葬儀の際には「白木位牌」という仮の位牌を飾りますので、僧侶は、それまでに故人にふさわしい戒名を考えなければなりません。
そうなると時間的な猶予は1日足らず。僧侶はその限られた時間の中で、故人の人となりを聞き、ご先祖の戒名を調べた上で最もふさわしいと思われる戒名を考えなければなりません。
僧侶の大変さを考えるとそれなりのお布施になってしまいます。
ところが、生前戒名の場合、時間的な余裕が全く違いますし、檀家との絆を深めて、離檀を防ぐ寺院側のメリットもあります。
ですから、没後戒名と比べ生前戒名の方が圧倒的にお布施が安く済むのです。
自分の希望を反映できる
生前戒名のもう一つのメリットは、ある程度まで自分の希望を戒名に反映できるということです。
もちろん、戒名はもともと「授かる」ものですから、自分の意向を100%反映させることはできません。僧侶が先祖の戒名とのバランスや、その方の生き方、人柄、社会貢献などを熟慮して最もふさわしい戒名をお付けになります。
それでも、入れてほしい字や、「信士」「信女」「居士」「大姉」といった位号など、自分の希望を伝えることはできます。
最終的にどこまで受け入れてもらえるかは、僧侶のお考え次第になります。
生き方が変わる
そして、生前戒名を授かる一番の利点は、生き方が変わるということです。
戒名を授かるというのは、すなわち、仏様の弟子になること。仏教の教えを拠り所に「すべきこと・すべきでないこと」を判断し、仏教の教えに従って行動するすることです。
生前に戒名を授かることは、欲得に左右されない安らかの人生を送る、そのきっかけとなります。戦国時代の武士のように自らの死を見つめることにより、生き生きとした人生を送れることでしょう。
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【生前戒名の相場】
本来は「戒名料」ではなく「お布施」
本来、「戒名料」というのは存在しません。戒名を僧侶にお願いした時にお支払いするのは、あくまでも「お布施」になります。
「お布施」というのは、仏道における修行の一種です。
「修行」ですから、金額はその人の「気持ち」でよいわけなのですが、現実問題としていくらお包みするべきかは悩みの種。「戒名料」や「相場」という表現が適切かどうかは大きな疑問が残りますが、金額にある程度の目安はあります。
戒名の4つの要素と金額
一口に「戒名」といいますが、「院号」「道号」「戒名」「位号」の4つの構成要素から成り立っています。
下の例は文豪・夏目漱石の戒名です。
「院号」はすべての人に付くものではありません。もともとは、天皇に使われていたもので、その後、政治家・社会的貢献度が高い人・寺院建立に尽力した人にも与えられるようになりました。
「道号」は、仏教の悟りを開いた人や格の高い人などにつけられる「字」のようなものです。宗派によっては存在しません。
その次に続く2文字からなる部分が「戒名」です。1文字は俗名から、もう1文字は仏様や経典から取るのが普通です。ちなみに、浄土真宗では「法名」、日蓮宗では「法号(日号)」と呼びます。
「戒名」のうしろにつけるのが「位号」です。故人が成人かこどもか、また、性別・年齢・社会的貢献度・社会的地位・信仰心によって位が異なります。「位号」の順位は次の通りです。(高い順)
- 男性の位号:院居士→院信士→居士→信士
- 女性の位号:院大姉→院信女→大姉→信女
生前戒名料は「相場」のほぼ半額
では、「没後戒名」の「相場」はいくらのでしょうか?そして、「生前戒名」の場合はいくらくらいになるのでしょう?
没後戒名の相場は全国平均で 46.3万円と言われ、「位号」によって金額が異なります。宗派や菩提寺によっても違いますが、「没後戒名」の相場は、おおむね次のようになります。
浄土宗 | 真言宗・天台宗 | 臨済宗 | 曹洞宗 | 浄土真宗 | 日蓮宗 | |
信士・信女 | 30~40万円 | 30~50万円 | 30~50万円 | 30万円~ | 20万円~ (釋・釋尼) |
― |
居士・大姉 | 50~60万円 | 50~70万円 | 50~80万円 | 50~70万円 | 50万円~ (院釋・院釋尼) |
― |
院信士・院信女 | 70万円~ | 80万円~ | ― | 100万円~ | ― | 30~50万円 |
院居士・院大姉 | ― | 100円~ | 100万円~ | 100万円~ | ― | 100万円~ |
宗派や菩提寺による違いはあるものの、「生前戒名」の場合、上記のほぼ半額になります。
また、院号をつけてもらう場合、その宗派の本山に申し込む必要があり、お布施も100万円ほどと高額になります。しかし、「生前戒名」ならばかなり金額を抑えられ、半額以下や、寺院によっては1/3~1/4になることもあります。
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【生前戒名の注意点】
このように「没後戒名」よりのはるかにメリットが多い「生前戒名」ですが、いくつか注意点があります。
せっかく、自分の没後のことを自分で準備しようと「生前戒名」を授かって、逆にご遺族に迷惑をかけないためにも次の2点に注意しましょう。
菩提寺のある方は菩提寺にお願いすること
まず一番注意しなければならないのは、先祖代々のお墓がある菩提寺がある方は、菩提寺のご住職に戒名をお願いしなければならないということです。
ご自分を弔ってもらう寺とは無関係のお寺に生前戒名をお願いした場合、お墓に入ることを拒否されたり、改めて菩提寺の住職から戒名を授かり直したり、葬儀をやり直したりといった事態を招きかねません。
ご住職の機嫌を損ねると、以後の法事にも影響が出かねません。
菩提寺をお持ちの方は必ずそこのご住職に生前戒名をお願いしましょう。
家族に生前戒名を伝えておくこと
せっかく「生前戒名」を授かったら、必ず家族にそのことを話しておきましょう。
もしも誰も知らないと、没後にご遺族が戒名をお願いして生前に授かった戒名が無駄になってしまいます。
ご住職も多くの檀家を抱えていてすべて把握できていなかったり、何年も前のことだと失念している可能性もあります。
お布施を二重にお支払いする負担も大変ですし、なにより、せっかく自分で授かった戒名とは別の名前で末代まで供養されることになってしまします。「生前戒名」を授かったことをご家族にきちんと報告しておきましょう。
【生前戒名が向いている人】
では、「生前戒名」はどんな人に向いているのでしょう。
ご遺族に迷惑をかけたくないとお考えの人
冒頭にお書きしましたが、「人生100年時代」を迎え。人は長生きするようになったものの、同時に少子化により、亡くなった後に自分を供養してくれる人が少ない、または、いない、という境遇の方が増えています。
また、核家族化により結婚した親子が同じ家に暮らすことも少なくなっています。
そんなことを背景に、自分が亡くなる前に自分でできることは自分で済ませ、できるだけ遺族に負担をかけたくない、とお考えの人が増えています。
生前戒名でしたら、戒名授与に伴うお布施を払うのは自分ですし、葬儀の際に遺族が納めるお布施も抑えることができます。生前戒名は、ご遺族にできるだけ迷惑をかけたくないとお考えの方にとってとてもふさわしいやり方でしょう。
菩提寺をお持ちでない人
また、「生前戒名」に向いているのは、先祖代々の菩提寺がない、または、長男・長女ではないので代々のお墓を守る必要がない方です。
新たに自分の菩提寺を決める、公営の霊園を探す、または、納骨堂や海洋散骨など新しい供養の仕方を検討している方にとっても「生前戒名」はうってつけです。
もちろん、先祖代々の菩提寺をお持ちの方でも、そこのご住職に「生前戒名」をお願いすることはできます。お寺を選ぶことができないというだけで、決して「生前戒名」に向いていないわけではありません。
全国対応、低価格のシンプルな葬儀【小さなお葬式】
【「小さなお葬式」と「よりそうお葬式」の戒名授与】
戒名授与を相場よりも安く扱っているところとしては、テレビCMで有名な「小さなお葬式」と「よりそうお葬式」があります。
それぞれ、全国統一でわかりやすい料金体系になっています。
「小さなお葬式」の「てらくる」
まず、「小さなお葬式」には「てらくる」というお坊さん手配のサービスがあり、戒名授与を相場よりも安く提供しています。
「てらくる」の戒名授与には4つの特徴があります。
- 仏教の各宗派に対応可能
- 全国47都道府県をカバー
- 戒名授与のみをお願いできるため、戒名授与料以外のお布施は発生しません
- 戒名を授かったからと言ってそこの檀家になる必要はありません
【てらくる の戒名料】
浄土宗・真言宗・曹洞宗・ 臨済宗・天台宗・不問 |
浄土真宗 | 日蓮宗 | |
信士・信女 | 2万円 | 2万円 (釋・釋尼) |
2万円 |
居士・大姉 | 6万円 | ― | 6万円 (院信士・院信女) |
院信士・院信女 | ― | 16万円 (院釋・院釋尼) |
16万円 (院日信士・院日信女) |
院居士・院大姉 | 20万円 | ― | 20万円 |
「小さなお葬式」の「てらくる」には、没後戒名と生前戒名による「戒名料」の違いはありませんが、それでも一般的な「生前戒名」よりも予算を抑えることができます。
全国対応、低価格のシンプルな葬儀【小さなお葬式】
「よりそうお葬式」の「お坊さん便」
一方、同じくテレビCMで有名な「よりそうお葬式」には「お坊さん便」というお坊さん手配のサービスがあります。
こちらも全国対応、仏教の各宗派に対応している、檀家になる必要はないという点では「小さなお葬式」の「てらくる」と同じです。
「てらくる」と違うのは「お坊さん便」は読経と戒名授与がセットになっているという点です。ですから、料金は下の表の「読経」+「戒名」の合計金額になるのでご注意ください。
【お坊さん便 の読経料】
よりそう火葬式 | よりそう家族葬(一日プラン) | よりそう家族葬(二日プラン) ・一般葬 |
55,000円 | 85,000円 | 160,000円 |
【お坊さん便 の戒名料】
浄土宗・真言宗・曹洞宗・ 臨済宗・天台宗・不問 |
浄土真宗 | 日蓮宗 | |
信士・信女 | 0円 | 0円 (釋・釋尼) |
0円 |
居士・大姉 | 4万円 | ― | 4万円 (院信士・院信女) |
院信士・院信女 | ― | 14万円 (院釋・院釋尼) |
14万円 (院日信士・院日信女) |
院居士・院大姉 | 18万円 | ― | 18万円 |
「よりそうお葬式」の「お坊さん便」にも、没後戒名と生前戒名による「戒名料」の違いはありません。ただ、やはり、一般的な「生前戒名」よりもかなり予算を抑えることができます。
定額の戒名授与
本寿院
【オススメ:ランクに関係なく一律3万円で生前戒名ができるお寺】
「小さなお葬式」の「てらくる」や「よりそうお葬式」の「お坊さん便
」も決して悪くはないのですが、それよりももっとおすすめなところがあります。
延宝七年(1679年)に開かれた歴史ある寺院で、しかも、ランクに関係なく一律3万円で生前戒名を授与してもらえるところです。
それは、東京都大田区南馬込にあります「本寿院」です。
ネットや電話、郵送で戒名を申し込めるので全国どこにお住まいでも対応可能です。立派な「戒名証」も届きます。
「本寿院」は、テレビ東京の情報番組「なないろ日和」(月~木 朝9:26~11:13 司会:薬丸裕英・香坂みゆき)で「戒名一律3万円の寺院」として紹介されたことがある有名なお寺です。
天台宗系単立ではありますが、こちらのご住職は宗派にこだわることなく全国各地で「つちぼとけ」を通じた仏教活動を行っている三浦尊明氏です。檀家制度もとっていません。
「戒名って高い?安い?」や「三休と土仏師たち「つちぼとけ」」などの本を出版したり、明治大学や専門学校で講師を務めたりと精力的に活動されている有名な方です。(三浦尊明住職について詳しくは「本寿院の評判は?格安・均一で戒名がつけられるってホント?」)
ご住職が戒名についてお話している動画をご覧ください。ご住職の人柄が伝わってきますよ。
「お金よりもまず供養」というお考えのご住職。1件1件お電話をして丁寧にご依頼者のお話を聞き取ったうえで戒名を授けてくださいます。
ランクに関係なく一律3万円という明瞭な設定もありがたいのです。
ですがそれよりも、よくあるネット戒名授与のように、知らないお寺の知らない僧侶に戒名をつけていただくのではなく、あらかじめはっきりわかっているお寺・ご住職につけていただいた方がありがたみが増すのではないでしょうか。
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