一般的に高いと言われる戒名ですが、戒名にはランクがあって、それに応じて値段が違うということは皆さんもよくご存じだと思います。
また、戒名は宗派ごとに特徴があり、それによっても授かるときの金額にも差があることもなんとなく聞かれたことがあるのではないでしょうか?
今回は、天台宗の戒名にはどのようなランク分けがあって、それぞれの戒名料の相場はいくらなのか、そして、格安でありながらきちんとした戒名を授けてもらえるサービスをご紹介します。
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【天台宗とは?】
天台宗は、社会科の教科書でも有名な最澄(さいちょう)が、平安時代に開いた宗派です。
最澄は、唐に渡り法華経にもとづいた天台学を修得したうえ、さらに密教や禅などについても学び、滋賀県大津市の比叡山延暦寺で天台宗を開きました。
その後、法然(浄土宗)、親鸞(浄土真宗)、栄西(臨済宗)、道元(曹洞宗)、日蓮(日蓮宗)などの歴史に残る名僧たちを輩出していった、いわば日本仏教の礎ともいえる歴史ある宗派です。
お唱えする言葉は、正式には「南無宗祖根本伝教大師福聚金剛(なむしゅうそこんぽんでんぎょうだいしふくじゅこんごう)」ですが、「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」が一般的です。
また、真言宗の開祖・空海(くうかい)と同時期に唐で仏教を学んだということもあって、真言宗と天台宗はともに戒名にサンスクリット文字「梵字」が使われるなど共通点も見られます。
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【戒名とは?】
現代は、戒名を「死後の名前」のようにとらわれがちですが、もともとは、生きているときに授かるものでした。武田信玄の「信玄」や上杉謙信の「謙信」も戒名なのです。
戒名の「戒」の字は「いましめ」です。戒名は、仏様の教えに従って生きることを決意した証で、かつては出家者だけが戒名を授かっていました。しかし、今では、だれでも極楽浄土に行けるようにと出家していない人も戒名を付けるようになりました。
ちなみに、浄土真宗では戒名ではなく「法名」、 日蓮宗では「法号」といいます。
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【戒名の構成】
宗派によって若干の違いはありますが、一般的に「戒名」は、4つの部分に分けられます。
文豪・夏目漱石の「文献院古道漱石居士」の例で説明します。
普通に会話で「戒名を授かる」という場合の「戒名」は、「文献院古道漱石居士」をすべてまとめて指しています。しかし、厳密に言うと「戒名」は「漱石」の部分だけで、「文献院」の部分は「院号」、「古道」は「道号」、「居士」は「位号」といいます。
院号
「院号(いんごう)」は、平安時代の嵯峨天皇が御所を「嵯峨院」と名付けたところから始まりました。極めてランクが高く、天皇家や将軍、多大なる社会貢献の実績がある、または、仏教に深く帰依した人に与えられるもので、特別な場合以外にはつけられません。
「院号」のところには、「院号」に次ぐランクの「院殿」があります。しかし、これを授かる人も稀で、古くは徳川家康(東照大権現安国院殿徳蓮社崇誉道和大居士)、最近では、安倍晋三 元総理(紫雲院殿政誉清浄晋寿大居士)がその例です。
道号
「院号」がつくことが稀なので、「道号(どうごう)」が一番最初に来るのが一般的です。
「道号」とは、「戒名」のほかにつける別名のようなもので、俗名で言えば号とか字(あざな)にあたります。
本来、仏教において悟りを開いた人に授けられる尊称で、例えば、とんちで有名な室町時代の「一休」さんの「一休」は「道号」です。現代では故人の趣味や仕事、性格・人柄をもとにつけるようになってきています。
戒名
「道号」に続く部分が仏の世界での呼び名になり、厳密な意味での「戒名」はこの部分です。
漢字2文字からなり、多くの場合、1文字は、自分の名前から、もう1文字は尊敬していた人、あるいは御仏や経典から取ります。例えば、阿弥陀如来を信仰していたら「慈」、大日如来であれば「照」、真言宗に帰依していたら「真」、浄土宗ならば「浄」などです。
ちなみに、「戒名」は浄土真宗では「法名」と呼ばれ、「釋〇〇」という3文字になります。また、日蓮宗では「法号」と呼ばれます。
位号
最後に来る部分を「位号(いごう)」と呼びます。文字通り戒名の位を表したもので、その人の年齢や地位、社会貢献度によって決まります。
しかし、普通は、祖先の位号に合わせることが多く、例えば、祖先の位号に「居士」「大姉」がついていたら自分も「居士」「大姉」にするといった具合です。
いわゆる「ランク」と呼ばれるのはこの部分で、どんな「位号」にするかで戒名を授かるときの金額が違ってきます。
高い ➡ 低い | |||
男性 | 院居士(いんこじ) | 居士(こじ) | 信士(しんし・しんじ) |
女性 | 院大姉I(いんだいし・いんたいし) | 大姉(たいし・だいし) | 信女(しんにょ) |
また、こどもの場合は、「院号」や「道号」は使用しませんが、「戒名」の部分はおとなと同じです。「位号」は、亡くなった年齢によって異なります。
- 死産:水子
- 1歳未満:嬰子・嬰女(性別がわからない場合は「嬰児」)
- 1歳~3歳:孩子・孩女
- 3歳~5歳:幼子・幼女
- 6歳~16歳:童子・童女
【天台宗の戒名の特徴】
天台宗は戒律を重視している宗派です。戒名は戒律を守って生きることの証ですから、信徒全てに戒名を授けるということが天台宗の特徴のひとつです。
そのため、天台宗には、授戒会に参加して戒律を守る誓願を立て、生前戒名を授かった人も多くいらっしゃいます。
天台宗の戒名もほかの多くの宗派と同様、「院号」「道号」「戒名」「位号」の4つから構成されます。
天台宗を開いた最澄は、真言宗を開いた空海と同じ時期に唐に渡って、同じように仏教を学んでいます。そのため、現代では入れないことも多くなっていますが、真言宗と同様に白木位牌の1文字目にサンスクリット文字である梵字が使われます。「ア号の梵字」や「キリークの梵字」、こどもの場合は「カ号の梵字」を使います。
「ア号の梵字」は大日如来、「キリークの梵字」は阿弥陀如来、「カ号の梵字」は地蔵菩薩を意味します。天台宗は特定の本尊を定めないため、このように梵字は一つに決まっていません。ご先祖様の位牌に合わせてもよいでしょう。
【天台宗の戒名のランク別相場と格安価格】
先ほどご紹介しましたように、戒名を授かるときの金額は「位号」によって異なります。
ところで、戒名を授かるときに寺院に納めるお金を俗に「戒名料」と呼んでいますが、実は「戒名料」なる料金体系が存在するわけではありません。戒名を授かるときに寺院に納めるのは、あくまで「お布施」です。「お布施」とは「財施」と呼ばれる仏教の修行の一つですから、本来的には納める方の「気持ち」でよいのです。
とはいえ、あまりにも多くの人たちが納めるお布施の金額とかけ離れてしまっては心苦しいのも事実です。
戒名を授かるときの納めるお布施の目安がまったくないわけではありません。「信士・信女」で10万~50万円、「居士・大姉」50万~80万円、「院信士・院信女」で80万円以上、「院居士・院大姉」で100万円以上が相場です。
少し幅がありますが、それは「サービスの対価」ではなく「お布施」ですから致し方ないところでしょう。
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【天台宗の戒名を格安で授けてもらえるところ】
このように、俗に「戒名料」と呼ばれるものは、決して安いものではありませんし、「お布施」ということもあって金額も定まっていません。
そこで、最近では金額をあらかじめ明示し、全国一律で格安で戒名を授けてくれるところも出てきました。
代表的なところでは、テレビCMで有名な【小さなお葬式】の「てらくる」や【よりそうお葬式】の「お坊さん便
」、そして東京都にある天台宗の寺院【本寿院
】などがその代表例です。それぞれが提供している「戒名料」は以下の通りです。
相場 | 【小さなお葬式![]() 「てらくる」 |
【よりそうお葬式】 「お坊さん便 |
【本寿院![]() |
|
信士・信女 | 10万~50万円 | 2万円 | 2万円 | 3万円 |
居士・大姉 | 50万~80万円 | 6万円 | 6万円 | 3万円 |
院信士・院信女 | 80万円~ | 3万円 | ||
院居士・院大姉 | 100万円~ | 20万円 | 20万円 | 3万円 |
【小さなお葬式】の「てらくる」
テレビコマーシャルで有名な【小さなお葬式】を運営する「株式会社ユニクエスト」が提供する寺院手配サービスです。
「てらくる」の特徴
- 檀家になる必要はない
- 全国に対応している
- 無料で宗派指定できる
- 規定料金以外の読経料・交通費・御膳料・心付けは不要
- 位牌の手配も可能(料金別途)
戒名授与までの流れ
電話またはWebで問い合わせ・相談 → 僧侶からの電話で対象の方のお人柄、ご職業、趣味や入れてほしい文字など相談 → 入金 → 戒名授与
【よりそうお葬式】の「よりそうお坊さん便」
「よりそうお坊さん便」は、テレビコマーシャルで有名な【よりそうお葬式】を運営する「株式会社よりそう」が提供する寺院手配サービスです。
「よりそうお坊さん便
」の特徴
- 檀家になる必要はない
- 全国に対応している
- 無料で宗派指定できる
- 規定料金以外の読経料・交通費・御膳料・心付けは不要
- 位牌の手配も可能(料金別途)
戒名授与までの流れ
電話またはWebで問い合わせ・相談 → 僧侶からの電話で対象の方のお人柄、ご職業、趣味や入れてほしい文字など相談 → 入金 → 戒名授与
本寿院
本寿院

ご住職は、「三休さん」の愛称で知られる三浦尊明氏。
戒名を均一料金で提供するというお寺としては画期的なことをしている以外にも、「NHK」や「よみうりカルチャー」で「つちぼとけ」教室を開いたり、ラオスに小学校を作る国際ボランティアに協力したりと精力的に活動している穏やかなご住職です。
*本寿院の評判についてはコチラ→「本寿院の評判は?格安・均一で戒名がつけられるってホント?」
本寿院
の特徴
- 位号のランクに関係なく一律3万円
- 檀家になる必要はない
- 全国に対応している(お寺は東京にありますが、電話やメールで受け付けています)
- 無料で宗派指定できる
- 規定料金以外の読経料・交通費・御膳料・心付けは不要
- 位牌の手配も可能(料金別途)
戒名授与までの流れ
電話・Web・FAX・郵送・来院で問い合わせ・相談 → 三浦住職からの電話で対象の方のお人柄、ご職業、趣味や入れてほしい文字など相談 → 郵送で戒名証が届き戒名授与される→入金
「てらくる」「よりそうお坊さん便」「本寿院」の違い
一口で言うと、【小さなお葬式】の「てらくる」や【よりそうお葬式】の「よりそうお坊さん便
」にはほとんど違いはありません。
戒名を依頼すると、【小さなお葬式】や【よりそうお葬式】から提携している全国の僧侶に連絡がいき、そこから各利用者に電話が入るという流れです。
料金体系もピッタリ同じですし、支払が確認出来てから戒名が授与されるのも変わりません。
それに対し、「本寿院」は、戒名を依頼すると「本寿院
」のご住職から電話連絡が来ます。
また、「てらくる」や「よりそうお坊さん便」が「お支払い」→「戒名授与」の流れであるの対し、「本寿院
」は「戒名授与」→「お支払い」という逆の流れになっています。
そして一番大きな違いは、【小さなお葬式】の「てらくる」や【よりそうお葬式】の「よりそうお坊さん便
」は位号のランクによって料金が異なりますが、「本寿院
」はどの位号でも一律3万円という点です。
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【戒名を授かる時の注意点】
- 菩提寺のある方が菩提寺以外のところで戒名を授与してもらう時は、かならず事前に菩提寺の許可を得ましょう。そうしないと、菩提寺のお墓に入ることを拒否されることがあります。菩提寺のない方、霊園や散骨をする方はその心配はありません。
- ご先祖と同じお墓に入る場合、ご先祖よりも高いランクの位号は付けず、ご先祖にそろえましょう。ただし、菩提寺への信仰が厚い、寺院の発展に寄与している、社会的貢献が高い場合は菩提寺と相談のうえ、高いランクを授かることもできます。また、菩提寺に新たに墓を建立する場合も戒名は自由につけられます。
- 夫婦で同じ墓に入る場合は、ランクをそろえます。
一番大切なのは、ご自身の身の丈に合った位号を授けてもらうことです。やみくもに多くの金額を支払ってランクの高い戒名をつけてもらうことがよいわけではありません。
【まとめ:費用面から見たおすすめ戒名授与】
以上のことから、「菩提寺のお墓に入らない」、または、「事前に菩提寺の許可を得た」という前提で、費用面から見たおすすめの戒名授与は次のようになるでしょう。
戒名は仏様の世界での名前であると同時に、末代までそれで供養される名前です。見栄や外聞ではなく、その意味をじっくり考えて授かりましょう。
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