世の中にはいろいろな役割や立場がありますが、「喪主」という役割は人生の中でもそうそう経験することもありませんね。
それだけに、いざ、喪主になったら何をしたらよいのか途方に暮れる方も少なくないでしょう。
そんな喪主の大切な役割のひとつが、葬儀での挨拶。重々しい雰囲気の中でしなければなりませんので、どんなことを話したらよいのか、また、どんな言葉を使ってはいけないのか考えてしまいますよね。
さらに話をややこしくしているのが、最近増えてきた様々な葬儀形式。
特に身内だけで行う「家族葬」では挨拶が必要なのか、もし必要ならどんなことを話したらよいのか?新しい形式のお葬式だけに困っている方が多いようです。
しかも、喪主の挨拶は一回だけでなく、葬儀の中では何度も挨拶をしなければならない場面があります。
そこで今回は、喪主の挨拶が必要になる場面別に具体的なあいさつ例文をご紹介します。
すべての場面を網羅していますので、あちこちのサイト巡りをして例文をかき集める必要はありません。ぜひ、参考になさってください。
小さなお葬式
喪主の役割
葬儀を執り行うにあたって大事な役割を担うのが喪主ですが、喪主のしなければならないことがらは大きく4つの場面に分けられます。
- 備え・・・葬儀に葬儀にお声がけする人のリスト作り、葬儀社の検討、危篤のお知らせ)
- ご逝去からお葬式の前日まで・・・ご逝去のお知らせ、葬儀社の決定、葬儀の予算・形式の打ち合わせと決定、葬儀の役割決め
- お葬式当日・・・お通夜から告別式までの進行確認
- お葬式後の諸手続き・・・行政上の手続き、納骨、相続の手続き
喪主は葬儀一切について最終的な決定を下す存在です。どんな形の葬儀にするか、いつ執り行うのか、いくらくらいの費用をかけるのかなどを他の家族や葬儀社と相談して決定します。
また、葬儀当日は、式の進行状況を確認し、葬儀が終わったら行政上の手続きや納骨、相続などやらなければならないことが山ほどあります。
ここでご紹介する喪主の挨拶は「3.お葬式当日」の役割になるわけですが、少しでも喪主の方の負担が少なくなるように、喪主挨拶の例文をご用意しました。ぜひ参考になさってください。
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誰が喪主を務めるか
誰が喪主を務めるか決めるにあたって、明確な「決まり」があるわけではありません。誰が務めてもよいのです。
ただ、そうはいっても一般的な優先順位がないわけではありません。
例えば、故人が遺言を残していて、そこで喪主を指定していれば、故人の遺志を尊重してその方が喪主を務めまるのが普通です。
また、遺言がない場合やあっても喪主を指定していない場合は、一般的には故人の配偶者が務めます。あるいは、商売をしている場合は、家業の跡取りが務めることもあります。
もし、そういった方々が事情で喪主を務めるのが難しい場合は、血縁関係の近さで喪主を決めます。通常は次の順番になることが多いです。また、複数名で務めるケースもあります。
- 長男
- 次男以降の直系男子
- 長女
- 長女以降の直系女子
- 故人の両親
- 故人の兄弟姉妹
家族葬に喪主挨拶は必要か?
家族葬とは
最近、特に増えている家族葬。実は家族葬に明確な定義があるわけではありません。
一般的には、ごく親しい身内だけで執り行う葬儀を「家族葬」と呼んでいます。はっきりとした決まりがあるわけではないので、「家族葬」でも故人と縁の深い知人・友人をお招きすることも少なくありません。
参列する人数は、ほんの数人から多くても30名以下になることがほとんどです。(家族葬について詳しくは「家族葬とは?葬儀費用はいくら?」)
家族葬に喪主の挨拶は必要か?
喪主の役割は、先ほどご紹介しましたように葬儀当日だけではありませんから、家族葬と言えども必ず喪主を決めたほうが何事もスムーズに進みます。
さて、その喪主の方が家族葬でも挨拶をする必要があるかということについてですが、喪主の挨拶は、故人の冥福をお祈りする意味や、参列された方々に感謝の気持ちをお伝えするものですから、やはり、喪主の挨拶は必要です。
ただ、喪主の挨拶は、下記のようにいろいろな場面で行われますので、お葬式の形態によっては省略されるものもあります。
また、本当にごく近しい家族のみで葬儀が行われる場合は、家族への挨拶が省略されたり、堅苦しくない程度で済まされたりすることもあります。
以下に挨拶例文をお示しします。「家族だけの葬儀なのでもう少し柔らかな言葉にしたい」など、必要に応じてアレンジしてお使いください。(参考記事「直葬と家族葬の違いは?費用はどのくらいかかるの?」)
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喪主が挨拶をする場面別の挨拶例
一口に喪主の挨拶といっても、いくつかのタイミングで挨拶が必要になります。一般的に喪主が挨拶をする場面別に挨拶例を作りました。
僧侶にお布施を渡すときの喪主挨拶
お通夜や告別式では、僧侶にお経をあげて故人を供養していただくのが一般的です。喪主は、僧侶がお越しになったときとお帰りになるときにご挨拶します。
お布施をお渡しするのは、お越しになってすぐお渡しする場合と、お見送りするときにお渡しする場合があります。なお、お渡しするときは、直接手渡しするのは避けましょう。
(関連記事「葬儀や法事のお布施の相場はいくら?」)
●お通夜に僧侶が到着したときの挨拶例
本日は、ご多用中のところご足労いただきまして、ありがとうございます。 予定通り通夜を執り行いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 こちら(お布施)は、些少ではございますが、どうぞお納めください。 |
●お通夜後に僧侶をお見送りするときの挨拶例
この度は、大変ご丁寧なおつとめを賜りまして、まことにありがとうございました。 おかげさまで、無事にお通夜を執り行うことができました。 こちら(お布施)は、心ばかりでございますが、どうぞお納めください。(お布施をお見送りの時にお渡しする場合) 明日は、〇時から〇〇(場所)で告別式を執り行います。 よろしくお願い申し上げます。 |
●二日目(告別式)に僧侶をお出迎えするときの挨拶例
昨夜は、遅い時間まで誠にありがとうございました。 本日もどうぞよろしくお願いいたします。 予定通り始めたいと存じますが、式までまだしばらく時間がございます。 どうぞ控室にてお休みください。 時間になりましたらお迎えに参ります。 |
●二日目(告別式)に僧侶をお見送りするときの挨拶例
本日は、大変ご丁寧なおつとめを賜りまして、誠にありがとうございました。 おかげさまで、無事に葬儀を執り行うことができました。 後日の法要につきましては、あらためてご相談させていただきます。 その節は、よろしくお願いいたします。(告別式とは別の日に初七日・四十九に日を行う場合) |
受付開始のときの弔問客への喪主挨拶
受付そのものは喪主の子や親せきの若者(甥・姪など)が担当しますが、喪主はお越しになった弔問客の一人一人に対して、お越しいただいたことへお礼を述べます。
ほんの数名の家族だけで行う場合は、特に受付を設けず、親兄弟への改まった挨拶も省略されることもあります。
●弔問客がお越しになったときの挨拶例
本日は、ご多用の中、ご足労いただきまして、誠にありがとうございます。 生前は○○が大変お世話になりました。 〇〇も喜んでいると思います。 (恐れ入りますが、こちらにご記帳をお願いできますでしょうか。) |
通夜終了時の喪主挨拶
お通夜で読経とお焼香が終わり、僧侶が退場したあと、「通夜振る舞い」と「告別式」の案内を兼ねて弔問客にご挨拶します。
最近はお通夜自体を省略することもありますので、その場合は当然、次の「通夜振る舞い」もふくめて挨拶はありません。
また、近しい親族のみで行う家族葬の場合は、お礼と告別式の案内をするだけのこともあります。
●通夜が終了した時の挨拶例
親族を代表いたしまして、ご挨拶を申し上げます。
私は、○○の妻(長男・長女など)△△でございます。(←親族以外の弔問客がお越しの場合) 生前は、格別なご厚情を賜り、故人も大変感謝しておりました。 〇〇は、去る○月○日、息を引き取りました。 なお、明日の葬儀・告別式は、○時より○○(場所)で行う予定でございます。 ・通夜振る舞いがある場合 ・通夜振る舞いがない場合 |
通夜振る舞いの喪主挨拶
「通夜振る舞い」とは、通夜の後にお酒やお食事を振る舞う会のことです。僧侶や弔問客の皆さんに感謝の意を示すと同時に、思い出話などをしながら故人を偲んでいただく場になります。
とはいえ、家族葬などでは、お通夜も含めて省略されることも少なくありません。
●開式の挨拶例
本日はご多用の中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。 皆様にお越しいただいて、○○もさぞ、喜んでいることでしょう。 ささやかではありますが、お食事をご用意させていただきました。 お召し上がりになりながら、思い出話などもお聞かせいただければと存じます。 どうぞ、ごゆっくりとおくつろぎください。 |
●閉式の挨拶例
本日は、突然のことにも関わらず○○のためにお越しいただきましてありがとうございました。 なつかしいお話はつきませんが、夜も更けてまいりました。 このあたりでお開きにさせていただきたいと存じます。 明日は、○時より〇〇にて葬儀を執り行います。 何卒、よろしくお願い申し上げます。 遅い時間までありがとうございました。 |
告別式の出棺前の喪主挨拶
告別式での喪主の挨拶は、告別式が終わり、故人をお見送りする出棺式の前に行われます。
ここで故人との最後のお別れになる参列者もいらっしゃるので、お通夜のときよりも少し長めの挨拶になることが一般的です。
参列いただいたことへのお礼を述べるとともに、故人との思い出やエピソードなどを交え、無事に告別式を執り行えたことへの感謝をお伝えします。
●出棺前の挨拶例
遺族を代表して、皆様に一言ごあいさつ申し上げます。 私、故人の妻の○○でございます。 本日はご多用にもかかわらず、ご参列賜りまして、誠にありがとうございます。 故人も皆様方から見送りいただきまして、さぞ喜んでいることと存じます。 夫は退職した後、囲碁や俳句などの多彩な趣味を楽しんでおりました。 夫がこのようにゆったりと晩年を過ごせたのも、ひとえに皆様のおかげです。 家族一同厚く御礼申し上げます。 今後とも〇〇の生前同様、ご指導、ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。 本日は誠にありがとうございました。《例2》 本日はご多忙の中、母・○○の葬儀にご会葬いただきまして、誠にありがとう存じます。 私、故人の長男の○○でございます。 母は、昨年の(いつ)ころに倒れ、これまで入院しておりましたが、〇日前に容体が急変し、そのまま安らかに永眠いたしました。 享年72歳でした。 母は苦しい闘病生活から開放され、ほっとしているでしょう。 皆様から心のこもったお別れの挨拶を賜り、母もさぞかし喜んでいることと存じます。 残された私どもは未熟ではありますが、皆さま方には、今後とも故人の生前同様にお付き合いいただきますことをお願い申し上げます。 本日は誠にありがとうございました。 |
精進落としの喪主挨拶
もともと「精進落とし」は、四十九日法要の時に行われていました。
仏教では、故人が浄土へ行くまでの49日間、遺族は仏教の戒に基づいて肉や魚を食べないのが一般的で、こういった料理を「精進料理」といいます。
「精進落とし」とは、その忌明けに戻す普通の食事のことです。
しかし、現代では、初七日や四十九日の法要でご親族に何度もお集まりいただく負担を軽減するため、火葬したその日に、「繰り上げ初七日」と「精進落とし」をするケースが増えています。
喪主は、「精進落とし」のはじめに、参列いただいたことへの感謝と葬儀を無事終了できたことへのお礼を伝え、終わりにはお礼と四十九日を行う場合はその案内もします。
●精進落としのはじまりの挨拶例
本日はご多用のなか、○○のために最後までお見送りいただきまして誠にありがとうございました。 おかげさまで滞りなく葬儀を終えることができました。 改めてお礼申し上げます。 ささやかではございますが、精進落としの席を用意しました。 お時間の許す限り、どうぞゆっくりおくつろぎください。 |
●精進落としの終わりの挨拶例
本日は貴重なお時間を賜りまして、誠にありがとうございました。 みなさまより、私どもの知らない○○の姿をうかがうことができ、感無量でございます。 もう少し、〇〇の思い出話など伺いたいところではございますが、あまりお引き止めするのもご迷惑かと存じますので、このあたりでお開きとさせていただきます。〇〇がいなくなって寂しくなりますが、遺された家族一同助けあっていきたいと存じます。 どうかこれからも変わらぬご指導のほどよろしくお願い申し上げます。なお、四十九日の法要は○月○日を予定しております。 足元暗くなっておりますので、どうぞお気をつけてお帰りください。 本日は、誠にありがとうございました。 |
喪主の挨拶のコツとNGワード
このようにいくつかの場面で喪主の挨拶が必要になってくるのですが、どの場面にも共通しているコツがあります。
また、どの場面の挨拶でも避けるべきNGワードがあります。
以下にご紹介しますので、例文をアレンジする際の参考にしてください。
挨拶文の構成と内容
挨拶を考える上で、予め次の5点を頭に描いておくとスムーズに進みます。
- 故人との関係がわかるような自己紹介
- 葬儀に参列いただいたことへの感謝の気持ち
- 生前、故人に賜ったご厚意・親交へのお礼
- 故人の生前の様子や人柄がわかるエピソード
- 今後も変わらぬお付き合いを願う気持ち
挨拶の長さ
葬儀にはご高齢の方がいらしたり、お食事を用意していることもあります。挨拶の長さは、聞く側の負担を考慮し2分~3分程度にまとめましょう。長くても5分程度にまとめるのが適切です。
文字数の目安としては、だいたい、300字で1分かかるといわれています。一般的な原稿用紙は400字詰めが多いので、2枚程度にまとめるのがよいでしょう。
また、スピーチをするときは、いつもよりゆっくりと、声を張るように意識すると聞きやすいものです。
NGワード=忌み言葉
伝統的に不幸があったときに使うのを避けるべき言葉があります。
最近の若い方は、さほど気にしませんが、お葬式にはご年配の方もお見えになります。せっかくお見えになった弔問の方に不快な思いをさせないためにも心得ておきましょう。
●重ね言葉
不幸を重ねないという意味から、同じ言葉を繰り返す「重ね言葉」は避けましょう。「重ねことば」には次のようなものがあります。
- 「たびたび」
- 「いろいろ」
- 「ますます」
- 「みなみなさま」
- 「かえすがえす」
- 「重ね重ね」
- 「ときどき」
- 「しばしば」
- 「だんだん」
- 「さまざま」
- 「ふたたび」
こういった繰り返し言葉は、別の表現に言い換えましょう。
例えば、「重ね重ね」→「深く」、「だんだん」→「少しずつ」、「しばしば」→「頻繁に」といった具合です。
●不吉な言葉
「死」や「不幸」を連想させる言葉もふさわしくありません。不吉な言葉には次のような例があります。
- 「4」
- 「9」
- 「終わる」
- 「無くす」
- 「悲しむ」
- 「おしまい」
- 「お返事」
- 「とんでもない」
- 「忙しい」
- 「焦る」
- 「褪せる」
- 「衰える」
- 「消す」
- 「枯れる」
こんな風に言い換えることができます。
「忙しい中」→「ご多用中」、「終わる」 → 「お開きになる」「 ゴールを迎える」、「お返事」→「ご一報」など。
●生死にかかわる直接的な表現
- 「死亡」
- 「急死」
- 「死ぬ」
- 「生存中」
- 「存命中」
こういった言葉は、次のように言い換えることができます。「死亡」→「ご逝去」、「生存中」「存命中」→「生前は」など。
宗教・宗派の違い
仏式葬儀では、霊魂が冥途をさまよっていることを連想させる言葉は使わないようにしましょう。
- 「浮かばれない」
- 「迷う」
- 「苦しむ」
キリスト教は、死を「終焉」ではなく「永遠の命の始まり」ととらえ、死は悲しむべきことではなく祝福すべきことであると解釈します。したがって、お悔やみというような表現は使いません。
- 「悼む」
- 「お悔やみ」
- 「悲しみ」
- 「惜別」
また、神道やキリスト教では、「仏」はもちろん、次のようなことばも仏教用語なので使いません。
- 「冥福」
- 「供養」
- 「成仏」
- 「他界」
- 「往生」
- 「弔う」
- 「合掌」
不安な場合
結婚式と違って、葬儀の場合は準備期間がごくごく限られています。挨拶内容が不安な場合は、葬儀社の方に相談しましょう。
また、時間をかけて準備ができないため挨拶をすべて暗記することが無理なこともよくあります。また、緊張して挨拶文を覚えていられるか不安になる方もたくさんいらっしゃいます。
よく、「メモを見て挨拶しても大丈夫ですか」という疑問をお持ちになる方がいらっしゃいますが、まったく問題ありません。
一番大切なのはお亡くなりになった故人に思いをはせ、参列者の方々に心から感謝の気持ちをお伝えすることです。メモを見ながら話しても失礼には当たりません。
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最後に、喪主にはこれまでご紹介した事柄以外にもしなければならないことが山ほどあります。葬儀すあの選定、葬儀の内容の詰め、役所の手続き、お墓や納骨、相続、遺品整理・・・などなど。
もちろん、喪主がすべて一人でやるわけではなく、家族と協力して進めるわけですが、家族が逝去するということは、そうそうあることではありませんから、全体像が見えなくて大変苦労します。
そんな時、意外と役立つのが葬儀社が出している無料ガイドブック。テレビCMでもおなじみの「小さなお葬式」は、資料請求するだけで無料で詳しいお役立ち情報がもらえます。
あとから営業の電話がかかってくることもありませんから、とりあえず目を通してみるとよいでしょう。
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