浄土真宗では戒名を法名と呼び、その付け方も構成も他の宗派と大きく違います。ここでは、浄土真宗の法名の付け方の特徴や、いくらかかるのかといった戒名料(お布施)の値段や相場をご紹介します。
これをご覧いただければ浄土真宗の法名について一通りのことがご理解いただけると同時に、どこにお願いしたら戒名料をおさえられるのかもお分かりいただけます。
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【浄土真宗とは?】
親鸞聖人
大乗仏教の一つである浄土真宗は、鎌倉時代に親鸞聖人によって開かれました。「南無阿弥陀佛」を唱えれば、阿弥陀如来の他力により極楽浄土へ往生できると教えています。僧侶に肉食妻帯が許され、戒律がない点が他の宗派と大きく異なります。
浄土真宗本願寺派・真宗大谷派・真宗高田派・真宗佛光寺派など10派以上に分かれ、すべての分派を合わせると、1700万人の信者と約22,000の寺院を擁する仏教最多の宗派です。
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【戒名とは?】
戒名の「戒」の字は「いましめ」です。戒名は、仏様の教え、すなわち「戒律」を守ることを決意した人に授けられる名前で、仏弟子になった証です。かつては、出家した僧だけが授かっていました。
しかし、一般の在家の方も授戒会で戒を受けることにより戒名を与えられるようになり、さらに今では生前ではなく、お亡くなりになってから授かることの方が多くなっています。
なお、戒名は仏法に帰依する証ですから、神道やキリスト教には戒名はありません。神道では「諡(おくりな)」、キリスト教では「洗礼名」がそれにあたります。
【戒名の一般的な構成】
戒名の構成は宗派によって若干の違いがあります。一般的には、「院号」「道号」「戒名」「位号」の4つの部分に分けられます。
「戒名」が二重の意味で使われていてちょっとわかりにくいので、いかりや長介さんの例で説明します。
いかりや長介さんの戒名は、「瑞雲院法道日長居士」といいます。これを4つの部分に分けると次のようになります。
普段、日常会話で「戒名を授かる」という場合、「瑞雲院法道日長居士」をすべてまとめて指していますが、厳密に言うと、「戒名」というのは「日長」の部分だけです。「瑞雲院」の部分は「院号」、「法道」は「道号」、「居士」は「位号」といいます。
よく「戒名はランクによって戒名料の値段が違う」という話を聞かれたことがあると思いますが、多くの宗派の戒名料はどんな「位号」にするかによって違ってきます。
*ランクによる戒名の違いについて詳しくはコチラ
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【浄土真宗の戒名のつけ方の特徴】
浄土真宗は「戒名」ではなく「法名」
阿弥陀如来
先ほど「戒名の構成は宗派によって若干の違いがあります。」と書きましたが、浄土真宗は戒名の構成のみならず戒名の呼び方そのものが違います。
というのも、戒名とは仏様の戒律を守る証として授かるものですが、浄土真宗には戒律がありません。したがって「戒名」とは言わないのです。
浄土真宗は、阿弥陀如来が万人を救済するという絶対他力の教えです。救済は仏の力によってのみなされ、信徒は仏を信じるだけで成仏できるとされています。「戒」は、修行などによる自己研鑽を表していますが、浄土真宗では信徒ができることは仏を信じることのみというのが教えです。
ですから、浄土真宗では「戒名」ではなく「法名」と呼びます。これは、浄土真宗では万人を救済してくださる阿弥陀如来の力を「法」と呼び、その阿弥陀如来から授かった名前です。「戒名」は、仏弟子として戒律を守り出家して修行していくことを誓った証ですが、法名は、出家せずに阿弥陀如来の教えに従って生きていくことを誓った証です。
構成
浄土真宗「法名」の構成
浄土真宗の場合、戒名の呼び方だけでなく法名の構成もほかの宗派と異なります。
先ほど、いかりや長介さんを例に、戒名は「院号」+「道号」+「戒名」+「位号」の4つの部分で成り立っているとご説明をしましたが、浄土真宗の場合は、「院号」+「釋号(しゃくごう)」+「法名」の3つ部分から成り立っています。
例えば、作家・司馬遼太郎さんの「遼望院釋浄定」は次のように分けられます。
戒名と同様に、普段の会話では「遼望院釋浄定」全部を指して「法名」と呼ぶことが多いですが、厳密に言うと「法名」は「浄定」の部分だけになります。
このように浄土真宗では、一般的に「信士・信女・居士・大姉」といった「位号」はつけません。これは、極楽浄土では、皆平等という考え方から来ています。ただ、地域的な慣習や寺院によっては、「□□院釋〇〇居士」のように「位号」を伴う場合もありますので、ご先祖様の法名を確認した上で授かるとよいでしょう。
浄土真宗「法名」の「釋」とは
浄土真宗の法名で使用される「釋(しゃく)」という字は、お釈迦様の「釈」の字の旧字です。
「釋」は、お釈迦様の弟子という意味です。法名(ほうみょう)の一番上に「釋(釈)」の文字が入ることで、お釈迦様の弟子、すなわち仏弟子であることを表します。これは浄土真宗だけのもので、他の宗派にはありません。
男性は「釋□□」、女性は「釋尼□□」と男女の釋号を分けている宗派もありますが、最近は男女区別せず、女性にも「釋□□」を使うことが増えています。宗派によっても違いますが、本願寺派は正式に男女とも「釋□□」に統一しています。
また、戒名の場合、子どもが亡くなると「童子」・「童女」・「孩子」・「孩女」・「嬰児」・「嬰女」・「水子」のように年齢によって位号を使い分けますが、法名では大人も子どもも「釋」・「釋尼」を使う点も異なります。
法名の文字数
戒名の場合、文字数が多くなると戒名料が高くなるというお話を聞かれた方もいらっしゃるかもしれません。そのため、法名の文字数が気になる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、浄土真宗の場合、どなたも法名の文字数は一律2文字です。
先ほども書きましたように、法名は釋号の後ろの部分です。司馬遼太郎さんの例で言うと、「浄定」がそれにあたります。「釋□□」「釋尼□□」のように□□は2文字で、生前の名前などから取るのが一般的です。浄土真宗の宗祖・親鸞も「釋親鸞」と2文字です。
なお、「釋号」の上に「院号」(△△院)の3文字を付ける場合は、「△△院釋□□」とし全部で6文字(釋尼を授かった場合は7文字)になります。
有名人の法名
では、有名人の法名を例にどのようになるかご紹介しましょう。
- 松本清張さん:清閑院釋文張
- 古賀政男さん:大響院釈生楽
- 林家三平さん:志道院釋誠泰
- 赤塚不二夫さん:不二院釋漫雄
- 植木等さん:宝楽院釋等照
- 松田優作さん:天心院釋優道
- X JAPAN・Hideさん:秀得院釋慈音
- 西城秀樹さん:修音院釋秀樹
- 岡田有希子さん:侑楽院釋尼佳朋
- 樋口一葉:智相院釋妙葉信女
- 向田邦子:芳章院釋清邦大姉
樋口一葉さんや向田邦子さんの場合は地域や寺院の慣習でしょうか、「信女」や「大姉」といった位号もつけています。
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【法名(戒名)のランク】
位号
戒名には「ランク」があり、それが高いほど戒名料が高くなるといったお話を聞かれた方も多いと思います。(ここでは便宜的に「戒名料」と表現しますが、本来は「戒名料」ではなく「お布施」です)
戒名の「位号」の部分を高い順に並べると、「院居士・院大姉」→「院信士・院信女」→「居士・大姉」→「信士・信女」のようになります。「信士・信女」ならば戒名料は10万円ほどですが、「院居士・院大姉」となると100万円を超えます。
ところが、法名にはこのようなランクの違いは存在しません。これは、浄土真宗では阿弥陀如来の教えは万人に分け隔てなく通ずると考えるからです。『浄土真宗「法名」の構成』のところでご紹介しましたように、一部の地域や寺院を除いてはそもそも法名には「位号」は付けません。
院号
しかし、「院号」を授かるとなると事情が違ってきます。
「釋号」の前に付ける「〇〇院」のことを「院号」と言います。(司馬遼太郎さんの例で言うと「遼望院」の部分です。)
この「院」とは、もともとは天皇の退位後の住まいのことで、平安時代の嵯峨天皇が上皇となった後、「嵯峨院」と称するようになったのが始まりとされています。初めは天皇だけに許されていた院号ですが、のちに公家や武士なども広く使用するようになりました。
かつては、生前に寺院を建立する程貢献した人、相当の地位や身分の功労者だけが院号を授かっていましたが、現在では、お寺や宗派、または社会的に大きな貢献をした人も、授かることができるようになりました。
ですから、院号は必ずしも誰でもが授かるものではないのですが、一般の人の場合、本山に進納することで院号を授かることもできます。その場合、一定額以上のお布施が必要になり、宗派などによっては数十万円から100万円ほどになることもあります。
通常、ご先祖に「院」がついていたら、それに合わせて「院号」を授かります。
よりそうお坊さん便
【浄土真宗では位牌をつくらない】
白木位牌と本位牌
白木位牌
戒名を授かると位牌にそれを刻んで仏壇などにお祀りするイメージが強いですが、浄土真宗は異なります。
位牌には白木で作った「白木位牌」と黒い朱塗りの「本位牌」があります。一般的には「本位牌」の方が馴染みがあるのではないでしょうか。「白木位牌」は、葬儀の祭壇に祀っておく、いわば仮の位牌です。四十九日の法要にて「白木位牌」から「本位牌」へ移し、それを仏壇などにお祀りします。
しかし、浄土真宗は「白木位牌」は作りますが、「本位牌」基本的に作りません。(地域や寺院によっては位牌を準備することもあります。)
位牌は、故人の魂の拠り所と位置付けられています。浄土真宗では、「南無阿弥陀仏」と唱えることで阿弥陀如来のお力で極楽浄土へそのまま導かれると考えられ、精魂が現世に帰ってくることはありません。ですから、浄土真宗では、位牌を作る必要がないのです。
過去帳と法名軸
このように浄土真宗では本位牌を作りませんので、「法名軸(ほうみょうじく)」や「過去帳(かこちょう)」で故人を偲びます。
「法名軸」は掛軸で仏壇の左右に吊り下げ、「過去帳」は「見台(けんだい)」の上にのせます。両方を飾ることもありますし、どちらか一方だけとすることもあります。
どちらにも故人の法名や俗名、没年月日などを記しますが、法名軸は浄土真宗だけにあるもので、過去帳よりも正式なものとされています。
宗派や寺院によっても違いがありますので寺院に確認しましょう。
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【2つの法名の授かり方と戒名料の値段相場】
浄土真宗・真宗大谷派の本山 東本願寺
戒名や法名は亡くなってから授かるものというイメージが強いかもしれませんが、本来は仏弟子になった証として生前に授かるものです。一般的に、生前に授かる戒名を「生前戒名」、亡くなってから授かる戒名を「没後戒名」と呼んでいます。
法名を授かるときにかかる戒名料は、生前に授かるか、没後に授かるかによって違ってきます。
生前に法名を授かる場合
生前に法名を授かる場合は、「帰敬式(ききょうしき)」(”おかみそり” とも言います)を受式します。「帰敬式」とは、浄土真宗の教えに則って生きていくことを阿弥陀如来に対して誓う式のことです。
帰敬式は、本山・別院・手次寺(てつぎでら=他宗派で言う菩提寺のこと)で行われます。宗派によって異なりますが、料金はおおむね 5,000円から1万円です。文字を指定すると2万円が相場です。
没後に法名を授かる場合
生前に法名を受けなかった場合、通夜や葬儀でご本山の門主に代わってご住職や僧侶から授かります。
宗派や地域によっても違いますが、お通夜から葬儀・告別式・火葬場での読経といった一般的に行われている、2日間にわたってお寺に供養していただく場合、お布施は全国平均で47万円ほどです。その中に戒名料も含まれます。
ただし、それ以外に「御車料」と「御膳料」といった費用がかかります。(詳しくは「葬儀や法事のお布施の相場はいくら?」をご覧ください。)
通夜や葬儀を行わない場合でも、出棺までに授かるようにお願いしましょう。
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【新しい法名の授かり方】
法名を授かる一番理想的な形は、生前に本山で「帰敬式」(別名:おかみそり)を受けることとされています。本山の他、別院・手次寺(いわゆる菩提寺)でも授かることができます。
しかし、生前にそれがかなわなかった場合もあるでしょう。また、手次寺を持たなかったり、手次寺がかなり遠方にあるため近くの霊園にお墓を建てる、永代供養してもらう、など最近はいろいろな選択をされる方が増えています。
没後、通夜・葬儀を執り行う際に法名を授かると戒名料を含めたお布施が高額になり、その金額も不明瞭です。そんな事情もあり、今は予め金額を明示して法名を授けてくれるところも出てきました。
なお、手次寺があり、そこのお墓に入る場合は、これからご紹介する方法ではなく、手次寺から法名を授かりましょう。そうしないと、普通は手次寺からお墓に入ることを拒否されます。
新しい法名授与の方法にはアプリやコンピューターを利用したものもありますが、ここではキチンと僧侶が法名を授けてくれるところに絞って3つご紹介します。
「小さなお葬式」の「てらくる」
一つ目はテレビCMでおなじみの「小さなお葬式」を運営する「株式会社ユニクエスト」が提供する「てらくる」です。「てらくる」の全てのお坊さんは、「僧籍簿」で僧侶の資格を確認し、さらに寺院の存在もチェックされています。
「てらくる」の戒名料は次の通りです。
- 釋・釋尼:2万円
- 院釋・院釋尼:16万円
なお、法名授与だけでなく読経も願いする場合は、法名料を含めて次のようになります。(いずれも「釋」「釋尼」の場合)
- 火葬式:8万円
- 一日葬:11万円
- 2日間の通夜・葬儀:20万円
上記の料金のほかにお車代とか御膳料などを追加で包む必要がありません。
「てらくる」は、公式サイト「全国対応、低価格のシンプルな葬儀【小さなお葬式】」からインターネットや電話で資料請求をするか、同サイトの最下部にある「てらくる」をクリックします。
「てらくる」についてもっと詳しく知りたい方はコチラをご覧ください。➡「”小さなお葬式”のお坊さん「てらくる」の価格や質はどう?」
「よりそうお葬式」の「お坊さん便」
二つ目は、やはり、TVのCMでおなじみの「よりそうお葬式」が提供する「お坊さん便」です。こちらの所属するお坊さんはすべて「僧籍簿」を確認しています。
- 釋・釋尼:2万円
- 院釋・院釋尼:16万円
法名を授かるだけでしたら「小さなお葬式」の「てらくる」と同額です。
法名授与だけでなく読経も願いする場合は、次の料金に法名料を加算した金額になります。
- 火葬式:3万5千円
- 一日葬:6万5千円
- 2日間の通夜・葬儀:14万円
上記の料金のほかにお車代とか御膳料などを追加で包む必要がありません。読経もお願いする場合は、「てらくる」より「お坊さん便」の方がリーズナブルですね。
「お坊さん便」もこちらの公式サイトからインターネットや電話で資料請求やお申し込みができます。➡「よりそうお葬式のお坊さん便
」
「お坊さん便」についてもっと詳しく知りたい方はコチラをご覧ください。➡「よりそうお葬式の四十九日法要は45,000円で出来るか?」
「本寿院」
三つ目は、戒名と法要のかけこみ寺「本寿院」です。東京都大田区にあるお寺で、天台宗系ですが、ご住職は宗派に関係なく広く門戸を開いている方で、浄土真宗の法名も授けてくださいます。
「お布施よりもまず供養」が本寿院のモットーで、ランクに関係なく戒名授与は3万円とうたっている通り、釋・釋尼・釋院・院釋尼すべて一律で3万円です。
読経もお願いする場合、法名料のほかに次のようなお布施になります。
- 一日葬儀:20万円
- 2日間の通夜・葬儀:25万円
「小さなお葬式」の「てらくる」や「よりそうお葬式」の「お坊さん便
」と一番違うところは2つです。
1つ目は、「院号」がついても3万円で授けていただけることです。「てらくる」や「お坊さん便」の場合、「院号」がつくとかなり金額が跳ね上がります。
2つ目は、予めご住職がわかっていることです。「てらくる」や「お坊さん便」の場合だと、先方から連絡が来るまでどこの寺院の何という名前の僧侶かわかりません。それに対して「本寿院」の場合は、寺院もご住職もはっきりわかっていますからより安心です。
お問い合わせやお申し込みは、コチラからインターネットか電話、FAXでできます。➡、戒名と法要のかけこみ寺「本寿院」
本寿院についてもっと詳しく知りたい方はコチラをご覧ください。➡「生前戒名が格安3万円でできるお寺サイト」
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